〜ホタテとしゃぶしゃぶと、父の食卓防衛戦〜
ふるさと納税って、ええよな。
美味いもんが届くし、税金も控除されるし、一石二鳥。
でもな、美味すぎると家族の中で争いが起こる。
北海道・釧路市から届いた、いくら&ホタテのセット。
冷凍やのに、とんでもなくねっとり甘くて旨い。
「これ、スーパーのやつとちゃうぞ…?」ってレベル。
そしたら次男。刺身デビューしたてのくせに、
ひと口食べて「うま…」って目が輝いて、
そこから兄弟でホタテ争奪戦が始まった。
そして——
俺と嫁さんの取り分が、消滅。
だから俺は叫んだ。
「ちょっと待て、納税者は私だ!!」
「私はこの自治体に“先払い”してるんです!」
「だからこのホタテを食べる正当な権利があるんです!!」
これは父の権利や。絶対や。
似た事件がもうひとつ。
カタログギフトで選んだしゃぶしゃぶ用の高級肉。
「今晩はこれやで〜」って言い残して仕事へ行った俺。
帰宅すると…
誰も玄関に迎えに来ん。
いつもはタッチしてハグしてくる子どもたちが、出てこない。
リビング開けたら、
肉をしゃぶしゃぶしながら無言で集中して食べてた。
「お父さん<肉」
あの日、それを悟った。
でも、まぁ思った。
「本当にうまいもんは、人を夢中にさせる」
最近は、“これは課金アイテムです”って言って、
先に取り分を宣言するスタイルにしてる。自衛や、自衛。
でも、ふと思う。
うちの子どもたちが、ほんまに「美味しいもの」に反応してるって、
それはちょっと、嬉しいことでもあるなって。
ちなみに今年も、ホタテが届いた日には、
「キターーー!!」って言うてもうた。
うまいもんは、正義。
でもそれを楽しむには、戦略と覚悟とユーモアがいる。
そして俺は、今日も“取り分”を死守するため、
ふるさと納税サイトを開くのであった。