最近よく「趣味なんですか?」って聞かれて、
「まあ、サウナとか…キャンプとか…」って答えると、だいたいこう返ってくる。
「あ〜“サウナー”なんですね」
「キャンパーですか?」
ちゃうねん。
ちゃうちゃうちゃう。ほんまにちゃう。
別に俺、“サウナー”って呼ばれたくてやってるわけちゃうし、
“キャンパー”って言葉に喜んで飛びついてるわけでもない。
ただ、好きなだけ。自分が気持ちよくなれる時間がそこにあっただけ。
サウナもキャンプも、たまたま流行ってるだけであって、
俺は**“整う”って言葉すらちょっと苦手やねん。**
なんかみんなが共通で使い出した“パッケージ感”というか、
「サウナ=整うでしょ」っていう押しつけが正直しんどい。
俺にとってサウナは、“整う”じゃない。
「イッタ」や。
サウナ出て、水風呂で全身ガッと冷えて、外気浴でとろけて、
「イッタ〜……」ってなる、それがすべて。
で、今日の本題。
場所は、京都・祇園のルーマプラザ。
俺が一番愛してるサウナ。
セルフロウリュできる本格フィンランド式で、もうここ来たら戻られへん。
この日は5セット目を決めて、もう全身ギリギリまで熱めて、
息止めてサウナから飛び出して——
水風呂、一直線や!
のはずが。
掛け湯ゾーンに、優雅に深呼吸しながらオケを独占してる若手の兄ちゃんがおった。
もうね、オケ1個しかないんよ。
そのオケを、
ゆっくり手に取り、
水をすくい、
「ふぅ〜……」って空気の味わいながら掛け湯しとる。
こっちはもう体内で地獄の業火が燃え盛ってて、
「あと3秒で水風呂入らんかったら魂ぬける」ってレベルやのに!
頭ん中で鳴り響いた心の声はこれ:
「ちゃうちゃうちゃう、ちゃうねんって!何してんの!?なんで深呼吸!?早よせぇ!何風感じてんの!?風いらん風いらん!早よオケ貸して!早よ早よ早よォォォ!!」
……でも俺、
ちゃんと最後まで待った。
オケを横から奪うことなく、無言で、静かに、
怒りをこらえた顔で耐え抜いた。
兄ちゃんが水風呂に向かった瞬間、
俺は秒速でオケを取り、秒速で掛け湯して、
そのまま爆速で水風呂にダイブ。
奇跡的に、
兄ちゃんが肩まで浸かった瞬間と、俺がズボンッと入った瞬間が完全にシンクロ。
これ、もう「同時フィニッシュ」ってことで、ええやんな?
ちなみに、サウナ界の暗黙の了解として——
“出る人が優先”。
これは間違いない。
もう限界まで熱されて出てくる人は、とにかく時間との勝負。
「早く水風呂に逃がしたれ」っていう“サウナー同士のやさしさ”があるんよ。
でも今日の兄ちゃんは、たぶんまだ**“そのステージ”に達してへん**かったんやと思う。
怒りが治まったあと、思った。
俺、マジでサウナに救われてるなって。
夜勤明けで体ボロボロの時、
しんどすぎて「今日はもう無理や」って時、
そのたびにサウナ入って「イッタ…」ってなった時、
なんか世界が軽くなって、自分の心にちゃんと余白ができる。
だから、やっぱり俺は、
サウナは1人で行くもんやと思ってる。
誰にも邪魔されず、時間も気にせず、
体と心が一緒に“ぬけていく”ような感覚。
その時間が、俺にとってのご褒美や。
今日は、整ってないけど整った。
いや、イッタな。